多焦点眼内レンズの欠点および注意点
手術後に起こることがある「ハロー」
レンズの種類によっては車のライトなどの周囲がぎらついて見える「ハロー」と呼ばれる現象があります。
人によってその程度は異なり、半年ほどの間に気にならない程度に落ち着く方が多く、最新型のレンズではあまり問題にはなりません。
ほとんどの方に生じる「グレア」
全体がうっすらとかすんだように見える「グレア」という現象はほぼすべての方に生じます。
ただ8割の方はまったく感じません。2割の方は「見えるがすっきり見えない」という感じになります。鬱陶しくて我慢できないという方は2~3%以下です。
メガネを使用したほうが楽な場合もあります。
薄暗いところでは手元が見えにくくなります。雰囲気の良いレストランなどです。
日常生活のほとんどの場面ではメガネは必要ありませんが、細かい文字の本を読む時などは老眼鏡を使用した方が楽に見えるため、1割弱の方がメガネを時々使用します。
単焦点眼内レンズの方が良い場合もあるかもしれません
目の状態(特殊な乱視)などによっては単焦点眼内レンズのほうが望ましいと考えられている場合もあります。
二焦点眼内レンズしか選択できなかった時代にはハローの影響を考慮したり、あるいは近くが見えにくいという方もいたため、ハローが影響すると思われる夜間に車の運転を多くする方、細かな作業を長時間行うことを職業とする方などの場合は単焦点眼内レンズが良いかもしれないと考えていたこともあります。
現在では多くの方にとっては単焦点眼内レンズよりも生活が楽になると考えています。
慣れるまで時間がかかります
単焦点眼内レンズに比べ、多焦点眼内レンズに慣れるには時間がかかると言われています。
ヒトの目はピント調節をしますが、多焦点眼内レンズはピント調節をするわけではありません。正確には「同時に遠くも近くも見える」という状態になります。
慣れるまでの期間は早くて1日、遅くて3ヶ月ほどです。
両眼に多焦点眼内レンズを
片目だけに多焦点眼内レンズを使用し、反対の目に単焦点眼内レンズを使用した場合、左右のバランスがうまく取れないことがあるため、両目とも多焦点眼内レンズを使用することが望ましいと報告されています。
片目だけの手術の場合はご相談ください。
検査と手術の精度
単焦点眼内レンズに比べ、使用する眼内レンズの度数を決める検査や手術そのものに極めて高い精度が要求されると考えられています。
このため手術の際に通常の単焦点眼内レンズでは問題とならない程度の「ブレ」が生じただけでも問題となります。
手術中の経過により期待する結果が望めないと考えられる際には単焦点眼内レンズをお勧めすることがあります。
当院では10年以上前から多焦点眼内レンズの導入に備え、手術の精度を上げるための検査機器や手術機器類を揃えてきました。すべて執刀医が責任を持って吟味し、現在考えられる最高かつ最新のものを揃えております。
すべての機器類は定期的なバージョンアップとメンテナンスを行い、性能を維持しております。
手術の合併症
手術は100%安全というわけではありません。
通常の白内障手術(水晶体再建術)と同様に合併症の危険があります。
また「ピントの追加調整手術」が必要なことがあります。